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出勤する夫の背中を見ると、ホッとする。
今日も遅く帰ってくればいいのに──
岡崎実鈴はそんなことをぼんやり考えながら、うっかり玄関に鍵をかけてしまう。
すると案の定、その音を聞き付けて玄関ドアが外側から猛烈に叩かれる。
ドガガガガガアァーーー!!
暴力的な音に自分の耳を両手で押さえ、その場にしゃがみ込みたくなる。
それでも彼女は何とか我慢しながら恐る恐るロックを解除し、ドアを開けた。
「何で俺が出たら、すぐに鍵かけるんだよ!?
何度も言ってるだろう!!
嫌だろう!!閉め出されたみたいで!!」
研一は細い目をことさら吊り上げ、怒鳴り散らす。
真っ赤というより、顔面蒼白に見えるのはもともと男にしては色白だからだ。
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