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Prologue
砂粒を巻き上げて、風が吹き荒れる。どこまでも続くこの不毛の大地に終焉はあるのか。
それも近づいてきているようだ。
4つの影がひたすらに大地を踏みしめる。その重さに砂が沈み、また新しい風が吸い込む。
先頭を行く影に続くのが、僕だ。長いようで短い旅だった。
目の前にあるのが最後の丘だ。ここを超えたところに目的の場所がある。
後ろの影は2つ。僕の半分くらいの背丈しかないそれは自分の何倍のある
台車を引きずっていく。もう1つの影は僕の側に寄る。まるで僕を守護するかの
ように……
そしてついに丘の頂上に、足を踏み出した。一番高いところに僕が立ったとき
先頭の影は僕に振り向く。風よけのフードを脱ぐと長い髪が風にまとわり、
美しい女性が姿を現した。
「ついに……ここまで来ましたわ。」
僕たちの目の前には巨大な樹が聳え立つ。その姿は天空を支え、宇宙まで
届きそうなものだった。 これが世界樹。ついに目的の場所にたどり着いた。
僕は懐にあるものを握りしめる。ここからが本当の戦いだ。
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