2.青い月から来た男

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  ソフィアは王様に向かって頭を下げたまま報告をしていた。   そして向こう側から声が聞こえてきた。   「表を上げよ。ソフィア。そして青の月から来た勇者よ。」   その言葉を聞いてソフィアは頭を上げた。僕も同じようにすると   目線には胸まで長い髭を生やした老人がいた。この人が王様か……。なら   横にいるのは大臣とかかな?とにわかな知識の範囲で想像した。   「あの……青の月から来たとか……勇者とか……一体何の話ですか。」   僕の知らない単語が飛び交っていて周りだけ理解しているってことが   どうも耐えられなかった。仲間外れにされているようで無性に嫌だった。   僕の質問に王様は髭をいじりながら大臣に耳打ちしている。何の相談   か分からないが気分はよくなかった。   「やはりご説明が必要のようですね。」   横に立っていた大臣が今度は口を開いた。背が高くひょろひょろしている。   小突いたら、骨が折れそうだ。まあ僕も人のことは言えたもんじゃないが……   「勇者様は異界の門からこの世界に来られた。青の月から来た者を    我々は勇者様と呼ばせていただいております。」   「異界の門……あのアニタって子がいっていた。」   その言葉を聞いたとき、あの夢を思い出す。確かにそんなことを言っていた。   あのおかっぱが……   「異界の門の天頂に青の月が来るとき、青の月から勇者様がこの世界に    来られます。そしてその方こそ我々を救うカギとなる方なのです。」   大臣は堂々とした口調で話し続ける。一方的な内容についていけなかった。   「青の月って何なんだ。」   僕の質問に大臣は即答する。   「あなた様が住んでいた世界のことでございます。」    「つまり地球……」   なんてことだ。僕は地球からこの異世界に召喚されたってことか、転移なのか   明確な区別はわからないがそんなことはどうでもよかった。   「僕がその勇者だとしたら……何をすればいい。魔王を討伐するのかい。」   「魔王?」   大臣が首をかしげる。その姿を見て王様が重い口を開いた。  「勇者よ。余からの頼みだ。西の最果てにある世界樹に赴き、黄昏の王を討伐し、   世界を救ってもらえぬか。」    王様から発せられた言葉に僕は驚くしかなかった。
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