窓の内

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バスの中を見渡せば、いつの間にか乗客が増えていた。 雨の日は、利用者が増える。 バスを降りたら電車に乗り換えないといけないけれど、バスはやや遅れ気味で、いつもより1本あとの電車に乗ることになりそうだ。 それでも、始業時間には充分間に合う。 この時間のバスに乗っているっていうことは、みんな、わたしと同じように職場に早めに行かなきゃいけない人たちなのかもしれない。 始業時間より早く行ってやらないといけない仕事があるのかも。 どんな仕事だって、みんな、きっと大変だろうな……。 ちらりと、隣に座る青年の様子をうかがう。 わたしに触れないように気を使って、隅に寄ってくれているんだろうけれど、少し窮屈そう。 ノーネクタイのワイシャツ姿。 会社員かなと思う。 クールビズで、ノーネクタイ、ノージャケットOKの企業も多いし。 この人は、どんな仕事をしてるんだろう? 肩から斜めにかけている鞄を膝の上に置いて、それを抱くようにして--。 寝てる!? ついさっき乗ってきたばかりなのに!? 隣に座る青年は、こっくりこっくりと舟を漕いでいた。
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