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貴方が朝の挨拶をするのは、
目の前にいる貴方に似た黒い髪の、可愛い可愛いあの子にだけ。
僕が、貴方に「おはよう」って言っても、貴方は聞こえていないかのように見向きもしない。
「おはよう、お兄ちゃん!!」
「おう、おはよう莉奈。朝から元気そうで良かったよ」
幸せそうな会話。
でも、その中に僕はいない。
「………ッ」
胸が締め付けられるように、痛い。
慣れている筈なのに、いつも通りの光景の筈なのに、それでも胸が痛いのはきっと僕が、まだお兄ちゃんを【好き】だからなのだろう。
当たり前、これが当たり前なんだ。
伸ばしたその手は、宙を切って行く場所を見失った。
《ズキズキと痛む胸を無視して》
《僕は、一人静かに部屋に篭った》
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