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今日も挨拶を返してくれなかった。
僕は自室のベットに寝転がり、遮光カーテンで閉ざされた窓を見た。
分かってた、分かってた筈なのに。
視界が歪み、頬に熱い液体が伝う。
必死に拭い、止めようとしては見るものの、
「…………ッ」
涙は溢れて、止まることを知らなかった。
ああ、痛い。
心が痛い。
僕が貴方に何をしたというのですか。
悪い所があったのなら、幾らでも治すから。
努力が足りないのなら、もっと努力するから。
だから、どうか、僕の事を__。
「………僕を、見て」
小さい頃は、普通の兄弟だった。
そうだった、筈だ。
いや、それすらも違うのかもしれない。
今考えてみると、小さい頃から僕は除け者だったのかなって。
幼い頃からお兄ちゃんは脚本を作るのが得意で、あの子と一緒に脚本を作って遊んでいた。
勿論、そんな才能を持ち合わせていない凡人の俺にそんな事出来る筈もなく、部屋で一人静かに本を読む。
そうしていると、下から両親の嬉しそうな声がして。
何があったのかなって、少しだけ気になって見に行ったんだ。
「ねェ、見てよ母さん!これ、莉奈と一緒に作ったんだー!」
「えへへ、私も頑張ったんだよ…?」
「へぇ、凄いわねぇ。上手だわぁ!!」
「じゃあ、この作品の題名は【家族】にしようか」
「あら、それは良いわねぇ。とってもいい題名だわ」
幸せそうな声。
幸せそうな空間。
ああ、俺はこの空間には居ないんだなって気づいた。
いや、幼い子の頭でも気付いてしまった。
《この場に自分の居場所は無い》
《幼い頭でもすぐ分かる簡単な事》
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