第二話 【妬んで、恨んで】

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▽▼▽ 俺には、何時も無表情で、何を考えているかわからない弟がいる。 幼い頃から、彼奴は何時も淡々としていて、まるで何処か遠くを見ているようなそんな感じだった。 それは、幼い頃の俺にとっては恐怖すべきもので、俺が小学二年生になった時には、可愛い可愛い俺の妹の莉奈としか遊んでいなかった気がする。 だって、彼奴と遊んだ記憶が無いから。 幼い頃の俺は、無邪気と言えば簡単だが、思った事を直ぐに口に出してしまうような性格だった。 勿論、小さい頃だから、その口に出した言葉が良いものか悪いものかなんて分かるはずもなくて、 「おまえはおれたちとあそびたくないんだろ!!」 「いっつもひとりでいて、おれたちがきらいなんだろ!!」 「だから、おれ、おまえとなんかあそんでやらない!!!」 そんな事を、何度も何度も彼奴に言った記憶がある。 思えば、それは幼い年頃ながらの所詮嫉妬というものなのだろう。 淡々としていて、何処か遠くを見ているような目をしている癖に、何かをやらせれば余裕そうに出来てしまう。 それが、そのことが、当時の俺にとっては気に食わなかった。 それから、彼奴と話す機会は一気に減った。 顔を見合わせたとしても、この場に彼奴が居ないかのように俺は当然の如く無視をしていた。 その度に、彼奴が傷つく事も知っていたし、部屋に戻ってから、泣いているのも知っていた。 それでも止めなかったのは、俺のちっぽけな、塵ほどもない、意地と呼ばれるものがあったからだ。 《彼奴と最後に話したのは何時だっただろうか》 《そんな事さえ、分からないほど、俺と彼奴の距離は遠かった》 《其の距離を遠めたのは、紛れも無い自分自身だと言うのに》
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