第二章

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「ただいま」 とつぶやきながら玄関に入るが返事は、独身であるからして当然ない いやまあ、この時代には二十一世紀よりもはるかに優秀なスマートスピーカーの類いは有るんだけど なんか依存しそうでな2320年現在の人間でも依存症にかかる人も珍しくないし、ルンバに名前をつけちゃう二十一世紀の感性の俺なぞはイチコロだろ? そんなことを考えつつも玄関マットに腰かけながら靴と靴下を脱いでフローリングっぽい床の廊下を裸足で歩き洗面所の脱衣カゴに靴下を入れてリビングのドアを横目にしながら自室に入りパソコンを起動する さてと弘中友奈さんとの会話で気になった事を検索するか 先ずは金星だよな?なんで金星に人が住んでいるんだ?テラフォーミングが成功した?金星の過酷すぎる環境で? 開発前の金星の環境を検索すると…………… 表面重力だけは0.95倍と地球をのぞけば最高の数値だが 地表から50~70km上空には秒速100mのスーパーローテーションと呼ばれる風が常に吹き 大気圧は90気圧(地球は約1気圧)もあり 大気成分は二酸化炭素が96.5% 更には大気の上層には硫酸の霧その下には硫酸の雲そして硫酸の雨が降るが その硫酸の雨は地表に到達する前に462℃の高い表面温度により蒸発するうえに 自転は243日間もかかり 水は地球の10万分の1しかない あまりにも過酷な環境だ どう考えても火星のほうがテラフォーミングは楽だよな? いやまてよ火星の検索もするか 確か今も開発中のハズだから 火星……開発前……環境……と 表面重力は地球の0.379倍と、とても低く その低い重力のため大気がきわめて薄く地球の大気圧の100分の1程度しかない 気温は-5~-87℃と地球と比較するととても寒く夏の赤道付近でも年間最高気温が20℃になるくらいか 年間平均気温は赤道付近で-50℃で 冬は-120℃にもなる それと特徴的な地形としては火星の最高峰にして太陽系の最高峰でもあるオリンポス山とマリネリス峡谷が有る 地球の最高峰のエベレスト(チョモランマ、サガルマータ)が8848m 金星の最高峰のマクスウェル山が11000m オリンポス山は、その二つの山よりもはるかに高く21230mにもなるため 登山家の注目の的でありテラフォーミングが終わった暁には登山家がこぞって集まりエベレストやマクスウェルや谷川岳のように大量の死体を量産すると予想されているのだそうな ちなみにマリネリス峡谷は埋め立てられて現在の火星には存在しないし オリンポス山のように再建される予定も存在しない なぜならばマリネリス峡谷の長さが4000km 最大幅200km 最大深度7kmと、あまりにも広大に過ぎて衛星軌道からもハッキリと分かるほどだからである 個人的にはグランドキャニオンよりもはるかに雄大な景色は惜しい気もするがな……
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