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第1話 肩を壊して
プロ野球の試合を見ながら俺は真っ暗な部屋でため息をついた。
白球がコロコロと転がり贔屓のチームがサヨナラ負けした瞬間だった。
俺は舌打ちをして麦茶を一気に飲み干す。
現在は高校生の俺。本当なら今頃は野球の練習に明け暮れている時。
しかしカーテンを閉め切って完全に外部から密閉されている空間。
「……あの時無茶しなければ、くそ!」
麦茶を飲み干したコップを壁に思いっきり投げつける。
ガシャンという音と共にコップは粉々に割れる。
それと同時に右腕から痛みを感じた。
この怪我だ。これさえなければ、俺は今でも野球を続けられていた。
中学時代。当時、弱小だったチームは一回戦を勝ち抜くことも難しい状況だった。
ただ、その中で俺だけは活躍していた。
チームの柱のエースとして投げ続ける。例え、何球だろうと。
唸るような剛速球に、針の穴を通すコントロール。
さらにはどんな状況にも動じないメンタル。
俺は完ぺきだった。だからこそ、俺が投げ続けなければいけなかった。
そして消耗し続けた肩はある日悲鳴をあげる。
いつも通りの練習の時。俺は肩に激痛を感じた。
今まで感じたこともないものだった。
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