boot;K.Nagatsuka/24,June

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その頃カシワギは、北署最上階のカフェスペースにいた。 定位置である奥の窓際席に座り、ぼんやりと外を眺めてはため息をつく。 「ここだったか、カシワギ」 ふいに呼びかけられて振り向くと、歩み寄る三つ揃いのスーツ姿の男が白い歯を覗かせて笑った。 すらりとした体躯に日に焼けた肌、整った顔はいい男の部類だ――カシワギははあと息を吐いてテーブルに突っ伏し、 「キサヌキ先輩マジック、全っ然効かない……」 「そりゃ重症だな」 神妙な顔のキサヌキはカシワギの隣に座り、 「ナガツカか俺か、って目をきらっきらさせてたお前はどこに――あ」 赤褐色の前髪の隙間から、大きく見開かれた目が殺意を帯びて見つめてくるのに気づき、 「……ナガツカのことだよな、お前が滅入ってんの」 「……わかってるなら、いちいち確認しないでもらえます?」 キサヌキの様子から察すると、何かしらよいことがあったように見えたが。 今のカシワギはほとんどの事柄に無関心であった。
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