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ナガツカの行方と容態が気になって仕方がないものの、キサヌキが所属する機動捜査隊、そして強犯係はそれ以上に別のことを気にしている。
一時はカシワギの頭の片隅にも引っかかっていた不安要素、それは――
「あの夜の凶器……見つかりました?」
「それが、まだ見つかんねえんだよ」
何か言いかけたキサヌキは、カシワギの問いに渋い顔で答えた。
「ナガツカが搬送された後も、翌日も総出で捜した。そこかしこ、どぶさらいもしたがどこにも見当たらない」
持っていた拳銃は取り押さえられた時にどこかへ飛んでいってしまってわからない――籠城犯はそう供述していた。しかし、
「その消えた凶器で、ナガツカさんが撃たれた……」
籠城中の犯人が威嚇発砲した弾が現場付近で押収されており、それはナガツカの頭部から摘出されたものと旋条痕が一致していた。
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