boot;K.Nagatsuka/24,June

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雨が続くのは、梅雨入りしたせいらしい。 どんよりとした天気と、どんよりどころか暗く沈んだままの気分。 最悪、と、朱い唇が小さく動く。 「この週で君の能力値がさらに伸びたって、上もラボも感心しきりだ」 定例会に参加して戻ったリンの報告を聞いても、カシワギは表情ひとつ変えず、黙って窓の外を眺めていた。 「ケイゴの不在を埋める資格者はまだ見つからないそうだ。しばらくは二人で任務をこなすしかないね」 「……遠慮したいな」 「え」 リンの美しい顔にちらと目を遣って、 「できれば今は、何もしたくない」 「……ユイ」 「あれからあの人の情報何も入ってこないんだよ?」 自然と細くなる声。 「搬送された病院にはいないんだって、……今はどこにいるのかすら」 勤務中、こっそり抜け出して向かった病院にナガツカはいなかった。 さらに高度な治療ができる場所へと移されたそうだが、スタッフは誰も行き先を教えてくれなかったのだ。 一様の頑なな対応に、カシワギは殺意に似た感情すら覚えた。
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