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現場、特に近接での暴漢鎮圧に力を発揮するカシワギは争いを嫌う生来ののんびり屋で、先輩にあたるリンにいつも頭が上がらないでいた。まともなレポートが書けるようになったのも、リンの指導の賜物のひとつだ。
そんなカシワギが塞ぎこみ、自分に対しても苛立ちをぶつけてくる。
今までになかったことだ。
「後方支援の後方支援、何とも紛らわしいが、お前さんが頼りだ」
そう言って笑った男もあの日から戻らず、未だ生死も掴めていない。
これも全て、ケイゴのせいなのか……?
苦々しい気分でいた時、机上で電話が鳴った。
ディスプレイに表示された番号で相手は知れたが、何事もなかったように電話に出る。
「“EChos”、リンです」
『ああ、リンか。カツラギだ』
対強行犯後方支援室――略称“EChos”を管理するカツラギが連絡を入れてくるのも珍しい。
刑事部長を兼任するため、そちらにかかりきりなのだ。
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