boot;K.Nagatsuka/24,June

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『カシワギに出動命令は出てないな? 話せるか』 「いえ、今は席を外していて――どうされましたか」 『あの銃げ――いや、ちょっと彼女に聞きたいことがあってな』 濁してしまった言葉をごまかすように、『すまん、またかけ直す』という一言を残して電話は切れた。 ところが、リンが席についてすぐカツラギからの電話が鳴る。 室長も(せわ)しないなとひとつ息をついて出たリンに、 『たびたびすまん。たった今、朗報が入ってきた』 「朗報?」 『ああ。カシワギにも伝えて欲しいんだが』 落ち着いた口調ではあったが、心なしかさっきよりも早口に思えた。 ……冷静な彼も、さすがにこれは安堵しただろう。 カツラギの話を反(すう)しながら、ゆっくりと受話器を戻す。 リン自身は気づかないが――血の気が失せた美しい顔は、強張っていた。
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