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「いいじゃん、別に。アダルト動画くらいみんな見てるって。十八歳以上ですか? って書いてあったから、『YES』の方を押しただけだよ。煙草吸ったり酒呑んだり万引きしたりしたわけじゃないのに、そんな咎めるほどのことじゃなくない?」
「いやいや、良くない、良くないに決まってるだろ。……いくらお前が同意の元だって主張してもさ、相手が未成年ってだけで捕まるのは俺なんだよ。正直この部屋に泊めるだけでもまずいんだから。勘弁してくれ」
「何びびってんの? 僕が誰かに言う訳ないし」
「頼むからさ、若くて怖いもの知らずでいるのは、俺の前でだけにしてくれないか」
半分呆れたように言い放ちながら、小谷野は崇史を膝の上から降ろす。
「じゃあ、卒業したらいいんだよね。そしたらコウくんとしたいこと全部やるから。コウ君は僕を見くびってるね」
「……今はいくらでも言えるけど、実際やってみたらがっかりするかもよ。こんなもんか、って」
悔しいけれど、反論する言葉を持ってない。いつでも彼の方が上。ぴったりとくっついたかと思えば、また突き放される。そんなことの繰り返し。
言葉でいくら翻弄されたところで、ただ一つ信じられるものがあるから。綱渡りのように不安定な関係が落下してバラバラにならずにいられる。自分を見る、彼の視線。胸を貫くように投げられる視線。
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