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苦笑して、リンザが応えた。
「お預けさ――だがまあ、よく分かるもんだ。オレが何者かなんてな」
「分かるさ。邪魔そうな前垂れに2刀を構えた、赤毛のいい女。それで、この場で一番強そうだってんだから、そりゃもう『六腕のリンザ』しかありえないだろ――違うか?」
「ああ。間違っちゃいない――じゃあ、今度はこっちの番だ。噂を聞いててな。ドンタチミに冒険者上がりの軍人がいて、こいつが戦争になったら暴れるつもりでうちの国に潜入してたんだが、小遣い稼ぎと暴れる準備のために始めた盗賊家業が儲かりすぎて、戦争の火種が消えたいまも国には戻らず、盗賊団の規模は大きくなる一方って――そういう話なんだがな。名前は確かピーターとアンディ。冒険者時代の仇名は――『百足兄弟』」
「へぇ」
「で、これが分からねえんだけど、教えてくれよ。オマエ――兄貴と弟の、どっちだ?」
「兄貴の方さ」
男が、抜き打ちでリンザに斬りかかった。
これをきっかけに、盗賊たちが息を吹き返した。
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