不死の通信兵と次代の魔女

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「兵隊さん、もしかしてデントラ王国に行く?」 「ああ。手紙なら一通1000ゼル、伝言だけなら700だ。こっちには戻らないから信用して貰うしかないがな」  おさげ娘がうんうん唸って悩む。何百年も続く小競り合いと内戦で、郵便や輸送産業はほとんど信用出来ない。隣国のデントラには現在郵便物は届かない状態にあり、連絡手段としては商人たちに心付けを渡すか、緩衝地域に派兵される兵士に頼むしかない。前者は一般市民には高額、後者は届く確率が限りなく低い。 「届け先は?」 「すごく田舎なの。二年前に向こうの内戦でおばあちゃんと離ればなれになっちゃって」  難民らしい娘が言うには、デントラ王国コーコント街道第七六四区より南へ40リグも離れている。歩いて半日以上だが、運が良ければ食料運搬の車が出ているらしい。彼女の祖母は、牧場の下働きをしているそうだ。 「おばあちゃん、字が読めないの。兵隊さん、伝言をお願い出来ないかしら」 「公用語か?」 「デンドール語しかわからないの。だから困ってて」  大陸公用語は主要都市とコーコント街道沿いで各国に通用するが、コーコント街道から遠くなればなるほど通じなくなる。     
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