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大理石の冷たい感触が頬に伝わり目が覚めた。重たい瞼をゆっくりと開けるとそこには全く知らない景色が広がっていた。
いや、ドラマなどでしか見たことのないような真っ白な部屋を目の前にして「知らない景色」などという簡易的な言葉を使ってはいけないだろう。
そしてもう一つ気になるのは、部屋の隅っこに、またしても白色のロボットが置いてあることだ。どうやら電源は切れているらしく動きはしないが。
「どこよここ。」
思いのほかありきたりな言葉が出た。
とにかく、ここはどこなのか、どうしてここに来てしまったのかを思い出す必要があるようだ。
「ええと、、、私は雅で、17歳、、、崇峻高校に通っていて、常に仲の良い6人と一緒にいたわ、、、どうしてここにきたのかというと、、、あらどうしてかしら。」
基本的なことは思い出せるが、ここにきた経緯の記憶だけは、すっぽりと抜けてしまっている。これがもし拉致なのであれば、記憶操作をされてしまっているのかもしれない。本当にそんなことが可能なのだろうか、、、、。
私の思考が完全に行き詰まったその時、どこからか声が聞こえた。
「オメザメデスカ。」
「え!?だ、だれよ!」
怖くなって叫んだが、声は震えている。
声の元を必死で探してみた。するとロボットの目が光っているのを発見した。どうやらこいつが勝手に喋りだしたらしい。
落ち着きなさい、私!まだ何もされていないじゃない怖くないわ!
と自分に言い聞かせるも、その言葉とは裏腹に体まで震えてきてしまう。
「オドロカセテシマイ、モウシワケアリマセン。ワタクシ、コノヤシキノシヨウニンデズ」
「使用人?だったらこの家の家主を出しなさい!聞きたいことが山ほどあるわ。」
「シュジンハ、イソガシイノデス。ソノカワリニ、ワタクシガオコタエイタシマスノデ、ゴシンパイナサラズ二。」
人をこんなところに連れ込んで忙しいから出てこれないとは、とんだ無礼者だ。
しかし、いちいち怒っては話が進まないのでは堪えるとしよう。
「、、、、ここはどこなの?どうして私はここにいるの?」
この当たり前な質問をすると、しばらく考えているように口をつぐんだが、やがてゆっくりとこう言った。
「ケツロンカラモウシアゲマショウ。
、、、、、、アナタハ、シニマシタ。」
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