第十一章 暴走

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「いやいや、入るってお前。ここ・・・、酒場じゃねぇか。 俺たちの様な学生が入る場所じゃないだろ。」 さすがに、学生が二人で酒場って。 「ん?あぁ、ここ夜は酒場だけど、昼間は若い女の子や学生で賑わう、 カフェなんだよ。だから気にしなくて平気だよ!さ、早く行こ!」 そう言ってティルナは、複雑そうな表情の俺の後ろに回ると、背中を押す。 その勢いに乗り、俺は扉を開けざるを経なかった。 カランカラン。 扉に付けられた鐘が店内に響く。 店内は、入り口から見て左側がカウンター席になっている。恐らく10人くらいは座れるようになっている。 右側は、壁から店内中央に向け、長机が設置されている。 その机を囲むように、片側8席ずつ。1机で16人が座れるようになっていた。 「さ、早く中まで入って!」 そう言うと、ティルナはさらに背中を押す力が強くなる。 「おや、ティルナちゃんいらっしゃい。そちらは・・・。 もしかして噂のお兄さんかい?」 カウンターの中で、グラスを拭きながらこちらを見る人物。恐らく、店主だろう。がティルナに話しかける。 ・・・ってか、ティルナって結構ここに来てる? 店主に名前で呼ばれてるくらいだからな。 「マスター、この人がお兄ちゃん!宜しくしたげてね。」 なにやら、店主はティルナの言葉を聞くと、俺に向かって軽く会釈をして来た。 「よろしく、あ~それとティルナちゃん。皆はすでに2階に上がってもらってるよ。」 マスターはそのまま2階へ通じる階段へと目配せをする。 「ありがとう!マスター!」 そう言うとティルナは、また俺の腕を引き階段へと向かう。 ・・・さっき、マスターがみんなって言ってたけど。 一体なにがあるんだ、この店。それにティルナも何か企んでるのか? 俺は一抹の不安を抱きつつ、ティルナについていった。
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