第十二章 その名は、「CHAOS」

2/9
18人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
昨日はかなりはしゃいでいた様子の面々だったが、今日はうって変わっておとなしく目の前で繰り広げられる大会に目を向けていた。 そう、今日は魔導大会2日目。 本選をかけた予選第2日目にあたる。既に俺の知っている面子たちはほぼ終わっているが、どうやら、ジンの気になる生徒が2日目に出場するらしい。 名前が確か、・・・なんだったかな。 「よし、第七試合にミヤビが出場するはずだから、そんときゃ応援頼むぜ!」 そうだ!ミヤビ・・・だ。でも誰だかわからん。 「ミヤビちゃんなら大丈夫でしょ?なんたって、 火属性で大魔導に到達するとまで言われているくらいなんだから。」 ジンの言葉に、フィアが返す。 へぇ、火属性の大魔導か。何気にこのクラス。すげーヤツ居過ぎじゃないか。 「ところでだ。なんでお前らまでここにいるんだ?」 そう、ここは大魔導専用観覧席にみんな集まっている。 「僕は別に構わないよ。人数いるほうが賑やかじゃないか。」 と、言うのはエバン。 「さすが、サニスター先輩っす!もう顔洗わないっす!」 いやいや、ジル。そこは洗えよ。ってか、顔洗わない意味が分からん。 さて、そんなこんなでグラウンド上では、第五試合が終わり、第六試合が始まる。 ティルナやフィアは真剣に戦闘を見ている中、ある二人に目がいった。 「あ、アルトも気付いたか?あいつらやけに仲良いんだよ。」 俺の目線に気付いたのか、ジンが話しかけて来た。 「まさかとは思ってたけど、まぁ仲がいいのはいいことだ。」 目線の先にいるのは、オルガとエルル。 肩を寄せ合いながら、グラウンドの方を見ている。 まぁ、探索授業のころから、それなりに距離感が近かったのは気付いていたが、 本格的に付き合い始めたってことかな。 「あぁ~あ、いいなぁ。俺も彼女欲しいわぁ。」 ジンの回りも気にしないこの性格はある意味凄いと思う。 さっきまで肩を寄せ合っていたオルガとエルルの距離が開いていた。 俺は、そんなジンに視線を向けていた女性を見つけたが、今は敢えて言わないでおこう。 いつか、お互いにその事に気付ける日が来ることを祈って。
/165ページ

最初のコメントを投稿しよう!