18人が本棚に入れています
本棚に追加
/165ページ
第七試合、開幕から大きく試合が動く。
一人の女生徒からの広範囲炎属性魔法が放たれた。
「くっ、こっちまで熱い・・・。フフフ、やはりさすがと言うべきか。」
俺の横で、不適な笑みを浮かべながらエバンがグラウンドを見つめる。
ミヤビから発生した、広範囲の炎属性魔法はドーム状にグラウンドを包み込んでいく。
「へへ。さすがミヤビだぜ。」
ジンは、グラウンドを見つめながら呟く。
グラウンド上を埋め尽くす炎は、防御壁に阻まれ、観客席の目の前でメラメラと燃えさかっている。
「凄い魔力量だな。確かに大魔導に近いってのは頷ける。」
俺は、ミヤビの魔法に対し冷静にグラウンドを見つめる。
グラウンド上では、炎に耐え切れず場外の用水路に飛び込むものが殆どの中、
5名ほどの生徒が各々の得意魔法でミヤビのそれを防いでいた。
「・・・。5人。すぐ、終わらせる。」
ミヤビは、ドーム状に展開していた広範囲の炎を瞬時にかき消した。
「おいで、紅蓮火龍・・・。」
ミヤビは腰を深く落とし、左手を腰の部分へ当てる。
右手をその少し手前辺りに構えると、魔力を凝縮し始める。
これを好機と取った、ほか5名の生徒が一気に動く。
ミヤビの左側、一番近くにいた男子生徒が、氷を造形して作ったと思われる大剣を振り上げながら、ミヤビに走りこむ。
「あまり、調子に乗るなよ!コレでも喰らいやがれぇッ!!!」
大剣の間合いに入ったと同時に、ミヤビに向け一気に振り下ろす。
「・・・。紅蓮・・・一薙!」
シャキン。刃物が、擦れたときに出るような音と共に、大剣を持つ男子生徒の動きが止まる。
ガラン、ガラン。
「・・・ばか・・・な。・・・ぐふっ。」
地面に落ちた大剣が音を立てながら転がる。
と、同時に男子生徒は膝から崩れ落ちた。
「やっぱ、ミヤビはつえぇなぁ。」
グラウンドを見つめながら、ジンが呟く。
そういえば、なんでここまでジンはミヤビを賞賛してんだ。
関係性が良く分からないな。
最初のコメントを投稿しよう!