第十二章 その名は、「CHAOS」

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第七試合、開幕から大きく試合が動く。 一人の女生徒からの広範囲炎属性魔法が放たれた。 「くっ、こっちまで熱い・・・。フフフ、やはりさすがと言うべきか。」 俺の横で、不適な笑みを浮かべながらエバンがグラウンドを見つめる。 ミヤビから発生した、広範囲の炎属性魔法はドーム状にグラウンドを包み込んでいく。 「へへ。さすがミヤビだぜ。」 ジンは、グラウンドを見つめながら呟く。 グラウンド上を埋め尽くす炎は、防御壁に阻まれ、観客席の目の前でメラメラと燃えさかっている。 「凄い魔力量だな。確かに大魔導に近いってのは頷ける。」 俺は、ミヤビの魔法に対し冷静にグラウンドを見つめる。 グラウンド上では、炎に耐え切れず場外の用水路に飛び込むものが殆どの中、 5名ほどの生徒が各々の得意魔法でミヤビのそれを防いでいた。 「・・・。5人。すぐ、終わらせる。」 ミヤビは、ドーム状に展開していた広範囲の炎を瞬時にかき消した。 「おいで、紅蓮火龍・・・。」 ミヤビは腰を深く落とし、左手を腰の部分へ当てる。 右手をその少し手前辺りに構えると、魔力を凝縮し始める。 これを好機と取った、ほか5名の生徒が一気に動く。 ミヤビの左側、一番近くにいた男子生徒が、氷を造形して作ったと思われる大剣を振り上げながら、ミヤビに走りこむ。 「あまり、調子に乗るなよ!コレでも喰らいやがれぇッ!!!」 大剣の間合いに入ったと同時に、ミヤビに向け一気に振り下ろす。 「・・・。紅蓮・・・一薙!」 シャキン。刃物が、擦れたときに出るような音と共に、大剣を持つ男子生徒の動きが止まる。 ガラン、ガラン。 「・・・ばか・・・な。・・・ぐふっ。」 地面に落ちた大剣が音を立てながら転がる。 と、同時に男子生徒は膝から崩れ落ちた。 「やっぱ、ミヤビはつえぇなぁ。」 グラウンドを見つめながら、ジンが呟く。 そういえば、なんでここまでジンはミヤビを賞賛してんだ。 関係性が良く分からないな。
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