第十二章 その名は、「CHAOS」

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ジンとミヤビの関係性は今はおいておこう。 先ほどのミヤビの攻撃。あれは、俺もガイアーム時代に見たことがある。 恐らく居合い抜きと言う技のはずだ。 鞘と呼ばれる剣を収める筒の様な物から、瞬時に剣を引き抜き相手を切りつける。 並大抵のものでは扱えない技である。しかもあの速さ。 それに、ミヤビの持っているあの剣・・・。 切っ先が片側にしかない。恐らくあれは剣というより刀という代物ににている。 俺もその刀自体を見るのは初めてだが、ガイアーム時代の座学で学んだ覚えがある。 そんな分析を行っている中、さらにグラウンドでは動きを見せていた。 ミヤビの後方から、放たれた無数の弓矢・・・。あれは魔法か。 どうやら、木を使って造られた、ウッドステッキのような杖を握り締めた女子生徒が、己の周りに緑の魔力を纏いながら魔法の弓矢を放っているようだ。 それとは別に、光の光球がミヤビに向かい飛んでいく。 こちらは、先ほど倒れた剣士の男子生徒付近に立っていた男子生徒から放たれたもののようだ。彼の武器は、どうやら小型のダガーの様なもの。 基本戦闘は、魔法主体といったところか。 双方からの魔法攻撃に挟まれるような状態になったミヤビ。 「・・・。紅蓮・・・。行くよ。」 ミヤビは、目の前に飛んできていた光球に向かい走り出す。 が、そのスピードは常人を軽く超えている。 どうやら足に炎属性のエンチャントを施し、速力を上げているようだ。 ・・・にしても早い。すでに、ダガーを握り締めた男子生徒の目と鼻の先にミヤビは到達していた。 が、刀を抜いていない。 「これで、二人目。」 ミヤビは、紅蓮を鞘に納刀したまま、柄の部分で相手の溝へと一撃を入れる。 「ぐ・・・。ぐふぅ。」 ダガーを握り締めていた男子生徒はそのまま崩れ落ちる。 丁度、そのタイミングでミヤビが元居た場所に風の弓矢が降り注いでいた。 そのせいか、その場から砂埃が巻き上がっている。 すでに、ミヤビは踵を返し、次の動作に入っていた。 左手で鞘を握り、右手でしっかりと柄を握ると、 「紅蓮・・・横薙ぎ!」 せつな、鞘から抜きはたれた刀は炎を発生させながら一気に右方向へ振り払われる。 そこから生み出された大きな炎の波動はまっすぐに砂埃めがけ飛んでいく。
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