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暫く歩いたところで、俺はあることに気付く。
この施設内、ようは今まで学内魔導大会が開催されていたであろうこの建物内からすべての人の気配が消えている。
まるで、アルトに逢ったときのような静けさがだけが漂っている。
もちろん、見えているものはなんら変わりはない。
が、やはりこれは何かがおかしい。
・・・!?これは、殺気!!!
この施設内中央から、禍々しいほどの殺気が放たれている。
この感覚。どこかで味わったような記憶すら蘇るほどの殺気。
俺は、すぐにグラウンドへと走りだした。
ーーーーーーーグラウンド内ーーーーーーーー
「まさか、俺の正体を見破るヤツがいたとはねぇ。くっくっく。」
ヴェノキアは、自分を囲む3人の生徒と対峙していた。
「いやぁ、まさかこんな所で闇属性の召還魔法を使えるなんて・・・
と、思っていたらこんな結果とはね。」
エバンはやれやれと言う様な素振りを見せている。
「・・・サニスター、油断するな・・・。」
それをみたミヤビは、エバンを見ずにヴェノキアだけを見つめて言葉を投げる。
「その通りだ。この男。只者ではないぞ・・・。」
二人のやり取りに、ローガンもヴェノキアを見据えながら言葉をかける。
「やだなぁ。ククク。そんなに警戒しないでよ。
俺の狙いはお前達のような下等生物なんかじゃぁないんだよ。」
ヴェノキアは両手を広げてぷらぷらさせながら、さらに言葉を続ける。
「・・・。と、べつにお前らに話す必要なんかねぇか。ククク。
どうせ、今この場で死ぬ運命の奴らに、未来を紡ぐ事はできねぇしなッ!!」
言い終わるか否かのうちに、ヴェノキアは瞬時にエバンの横に移動する。
そのままの体勢から、右手に黒い魔力を纏わせながら横に振り払う。
「・・・。危ないよ。君、礼儀がなってないね。」
ヴェノキアの一撃を宙へと浮かび回避したエバンは、目つきを変える。
その眼差しはまっすぐにヴェノキアに向けられる。
「おぉ、怖い怖い。ククク。けどよ、お前それ避けれてねぇぜ?
ギャハハハハハハハ!!」
ヴェノキアが大きく高笑いをした瞬間、エバンの右手から鮮血が噴出す。
「グァッ!?・・・くそ。コレだから闇属性ってのは性質が悪いよ・・・。」
そう言うと、エバンは左手を傷口に当てる。
『brise reposer(ブリーズ・ルポゼ)』
エバンの右手を柔らかく優しい風が包み込む。みるみるうちに傷が回復していく。
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