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冷たい雨粒が頬を伝う。
同時に、溢れ出す熱いもの。
今、俺の腕の中でゆっくり瞼を閉じる同志を抱え、
空を仰ぎ、俺は怒り・悲しみ・憎しみを込めた咆哮を…
ーーー
この日、俺が所属するガイアーム帝国前線部隊は壊滅した。
突如現れた、暗黒勢力「CHAOS」(カオス)。
ガイアーム帝国領に1番近い、バルアラン最終防衛線を死
守していた帝国最強騎士団の全滅により、ガイアーム勢力
は戦力を後退させ、帝国領内での最終防衛戦へと移った。
俺達には、前線から後退し帝国首都防衛の命令が下った。
今、俺の目の前には鋭く光る剣先が向けられている。
俺は目を瞑る。
(終わった…俺の命もここまでか…)
死を覚悟した。
まだ、18の俺には早すぎる寿命だと目を瞑りながら、神へ
の憎しみを募らせる。
目を瞑っていても、今切っ先が振り上げられたのが
感じ取れた。
目を瞑る瞼に力が入る。 と同時に歯を食いしばる力も増す。
いよいよだ。
俺は、死ぬ…
………
………
………
…ん?…
まだ、来ないのか?…
まさか、この状況で弄ばれているのか?…
俺は、いつまでもトドメを刺されない事にイラつきを感じ
、瞑っていた目を開け、怒鳴りつけるように言い放つ。
「殺すなら、さっさと殺せ!!」
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