雨の鎮魂歌

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「俺様は神の使いになるんだぞ、邪魔をするとどうなるかわかっているんだろうな」 「嘘だ! そんなのは蛇が作った伝説でしかない! そんな暴挙で神の使いになんかなれるわけがない!」 「図体だけのウシガエルが生意気な」  素早さで蛇に勝てるわけがない。ウシガエルは腹を噛まれそのまま天高く放り投げられてしまった。  歌姫の悲鳴が雨粒に乱反射。ウシガエルは地に叩きつけられるかと思ったが、たくさんの紫陽花の花がクッションになって最悪の事態は避けられた。 「ウシガエルさん!」  なんとか体制を整えるウシガエル。 「ヴモオオオオオオオン」  威嚇をあきらめない。傷つきながらもウシガエルは立ち向かう。 「バカが、毒が回るのは時間の問題だ。貴様は歌姫が食われるのを眺めながらくたばれ」  見下ろす蛇の目が不気味に光る。 「負けるものか」  最悪の事態は避けられたとはいえ噛まれた腹からは血がたれているし、あちこち体が痛む。目がかすむのは霧雨のせいだと信じたい。ウシガエルは皮膚から油が出るほどに力を振り絞る。 「ヴモオオオオオオオン」  歌姫に影を落としていた蛇が振り返った。 「こいつ、まだそんな力が」 「その子から離れろ……」 「なんだ、ヨタヨタじゃねえか。最後の悪あがきってやつか」     
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