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ぼくらの季節は短いけれど、だからみんな待ち遠しい。だからみんな楽しいんだ。だからみんなで歌うんだ。ケロロン、ケロロン、ケロロロン!
みんなの歌はウシガエルの胸に届いている。ウシガエルは身体じゅうが暖かくなるのを感じ取って、まるで雲の上に浮かんでいるかのような気持ちになっていた。
「しあわせだな……おれはしあわせなウシガエルだ」
ニコッと浮かべるエクボのあたりにキスの跡があった。暖かさはそこを中心に広がっている。
「暖かい……」
暖かさは淡い光になる。綿帽子のような光に包まれて、ウシガエルの身体が白くなっていく。
天の恵みありがとう。すてきな贈り物ありがとう。ケロケロケロロン!
歌姫さんありがとう。すてきな歌声ありがとう。ウォンウォンウォン!
雨蛙もウシガエルも一緒に歌おうケロロンロン!
雨蛙のみんなありがとう。身体がとても軽くなったよ。ウォンウォンウォン!
その調子、みんなで祝おうケロケロケロロン!
暖かさに包まれて、ウシガエルは白い蛙になっていく。蛇の言うことは嘘じゃなかったのか。でも歌姫を食べるなんてことはしていない。ただ、ほっぺにキスをもらっただけだ。それが、声まできれいになったみたいで。
ウォンウォンウォン!
白い蛙は空も飛べる。天からお祭りに参加することができる。
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