弱者

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そんな醜い夫でも、我が子にとっては、唯一の父なのだ。だから、「パパに会いたい」と言ったのには驚かなかった。週一で夫のアパートに通うようになっても。それが今回の事件に繋がったのだから、私は母親失格だ。そのことを我が子が眠りについた後、今の旦那に相談したが、「僕との間に生まれた二人は幸せに育っているよ。だから大丈夫」と言われたので、よかった。 亡くなった我が子のことは忘れないが、今の旦那とその子どもたちとの生活では今度こそ、母親らしく。今はとても弱い母親だけど。 そして、補足ではあるが、夫は、五年前までは確実に子供思いだった。私への暴行も、我が子を安全なところに避難させてからだった。 良いパパさんのようなエピソードもある夫でも、不良品は選別され、一定期間閉じ込める。選考結果によっては廃棄されなければならない。それは、私にはどうしようもできない。だって私は、赤の他人だから。
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