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「あれ? 知矢?」
あいつ……、普段からこの公園は通らないようにと言ってあるのに……。
なんせさびれた公園である。変質者がひそんでいるかもしれない。
知矢は女の子みたいな顔をしているし、体も華奢である。
痴漢や変質者に狙われても不思議ではない。
「知――」
典夫が声をかけようとしたとき、その声は聞こえてきた。
「あたし、知矢くんが好きなの。だからつき合ってください」
そう、知矢は一人じゃなかった。もう一人木の陰に女の子がいた。
制服から見て、知矢と同じ高校の女の子のようである。
「え……でも、僕は……」
「返事はいつでもいいから……!」
女の子は知矢の返事を聞くことなく、足早に去ってしまった。
その場に一人残された知矢は小さな溜息を落としたあと、不意に顔を上げこちらを見た。
典夫と知矢の目と目が合う。
知矢は大きな目をさらに大きく見開いた。
「お兄ちゃん……!?」
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