寂しさ

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寂しさ

 知矢は自分の部屋に入るとベッドに体を投げ出した。  ずっと我慢していた涙がとうとう零れる。  バカ、お兄ちゃんのバカバカ。  どうしてあんなこと言うの!?  僕が女の子とつき合ってもいいの?  僕の気持ち、何にも知らないで……。  本当にお兄ちゃんのバカ。  僕はお兄ちゃん以外、誰も好きになれないのに。  涙が枕をぐっしょりと濡らしていく。  ……分かってる。本当は。  お兄ちゃんはなにも間違ったことは言ってない。  僕が怒ることこそ理不尽で。  お兄ちゃんへの思いは僕の一方的なもので、お兄ちゃんにとっては僕は弟でしかないんだから。  でも、それでも好きなのに。  こんなに好きなのに。
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