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強引なキス
……お兄ちゃん、遅いなー。
知矢はリビングのソファで膝を抱えて座りながら、壁にかかった時計を見つめていた。
もう十一時を回っているのに、典夫が帰ってこない。
今日はアルバイトの日でもないし、こんなに遅くなるはずがないのだが。
母親は友達と一泊旅行へ行っており、父親からも残業で終電ギリギリで帰ることになりそうだと電話があった。
だから知矢は少々心細い思いで、兄が帰ってくるのを待っているのだ。
スマホに電話をしても出ないし、メールをしても返事が来ない。
もしや事故にでも遭ったんじゃ……。
不安になり、もう一度スマホに電話を掛けようとしたとき、玄関の鍵が開く音がした。
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