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知矢がクスクスと笑っていると、兄は抱きしめる腕に力を込めると急にまじめな顔になって言った。
「二日も連続で無茶してごめんな。おまえの体の負担のことも考えてやらなきゃいけないのにな……本当ごめん」
「お兄ちゃん……」
知矢は兄の胸に頬を摺り寄せ、言葉を紡いだ。
「謝らなくてもいいよ? だって……お兄ちゃんがしたいことは、僕がしたいことでもあるんだから……」
「知矢……」
典夫が知矢の顔を両手で包み込むようにして、視線を合わせて来る。
「おまえ、恥ずかしがり屋のくせに、時々すごく大胆なこと言うよな」
「う……」
知矢が真っ赤になって口籠っていると、再び兄の腕の中に抱きこまれた。
「ありがとう、知矢。大好きだよ……」
「うん。僕も……お兄ちゃん」
兄の腕に包まれて絶対的な安心感と、幸福感を覚えながら、知矢は眠りに落ちて行った……。
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