3章 橙色の友情

33/41
前へ
/877ページ
次へ
「『ライオンの赤ちゃんを助けたら、崖から落ちました。崖沿いに元来たルートを戻っています。なだらかなところがあれば、そこを登って行きますので、よろしく』」 ロピからの手紙を読み、俺はレミとロピを見て、ため息をついた。 「あいつは無事なんだな?」 「ミィー」 ロピが頷く。まずは蓮華の落ちた崖に出て、そこから戻るように沿って歩くことにした。 「蓮華大丈夫かしら?」 「大丈夫じゃないだろ。ここ、マスター中級の同行者がいないと入れないんだぞ」 心配する真澄に、返事をすると、彼女の表情がみるみるひきつった。やべぇ。俺、焦ってるな。返事間違えた。中級の同行者がいないとダメなことは蓮華にも伝えたはずだ。なのに、あいつときたら……。ため息が出る。 「すまん。俺が、写真を撮りたいと言わなければ……」 「勝手に離れたあいつが悪い。それに、俺たちも絶景スポットに行きたかったしな」 稔彦の謝罪に、俺は稔彦に申し訳なさを感じる。稔彦が行きたいと行ったのも無理はない。写真家なら誰でも行きたいと思うようなところだ。 俺が中級に上がったら行こうと約束していたし、稔彦もそのつもりで一緒に旅をしていた。絶景スポットは、マスター中級を持っている奴じゃないと、入れない場所がいっぱいあるから、沢山行こうと話していた。 ちなみに、それは稔彦の専門分野である。歴史的建造物も例外ではない。 歴史的建造物の周りには、守っている動物もいて、上級にならないと入れない場所もある。 とにかく、危険な状態なことには変わりない。あいつが動物を連れていないのも心配だ。レミが一緒であれば、まだ安心できていた。レミもロピも一緒でないということは、すべて自力でなんとかするしかない。 動物と一緒でないことが一番の問題だ。 考えていると、ポツリポツリと空から滴が落ちてきた。まじかよ……。山の天気は変わりやすいっていうけど、ここで雨……。 雨は驚くべき早さで、大雨に変化した。 仕方なく、蓮華の捜索を一旦中断した。動物がつくったであろう洞穴を見つけて、動物がいないことを確認し、そこに入る。レミもロピを心配そうに空を見上げた。
/877ページ

最初のコメントを投稿しよう!

623人が本棚に入れています
本棚に追加