3章 橙色の友情

38/41
621人が本棚に入れています
本棚に追加
/877ページ
「あたしのことを知ってるの?」 「ペガサスより、話は聞いております」 「ペガサスから……」 「あまり時間はありません。何かあったときのために、我が子をお連れください」 ライオンママの言ってることが少しもわからない。眉を潜めて、ライオンパパを見れば、頷かれた。 「何かあったときって……」 「まだ教えることはできません。しかし、大丈夫。きっと、貴女は全うすることができる……。……我が子を助けてくれた素敵な心の持ち主ですから」 言うだけ言って、二匹は去っていった。嵐のような出来事にあたしは目をぱちくりさせた。何が起こった? ライオンが喋って、時間はないとか言われて、でも大丈夫って……。全うできるって……。 全うってなんだ? 考え込んでいると、ライオンの赤ちゃんはすっかり着いてくる予定らしく、頬を脚にすりよせてくる。 まさか、放置するわけにもいかず、あたしはライオンの赤ちゃんを仲間にすることにした。 「どうしようかなー。ニックネーム……」 考えながら、先に進む。 雷強かったしなー。 なだらかな傾斜を登る。まさか、ライオンを連れるなんて夢にも思ってなかったけど、でも、この子可愛いしな……。 「決めた!」 ニックネームを決めた。ライオンの赤ちゃんは振り向く。 「貴方の名前は、ライ! ライオンのライと、落雷の雷をかけてみた! どうかな?」 ライはにこりと笑って抱きついてきた。あたしも抱き返す。動物相手だと、こうも簡単に行く関係が、人間になると悩ませることになるのが不思議だ。
/877ページ

最初のコメントを投稿しよう!