3章 橙色の友情

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「ごめん!! それから、嫌な態度取ったのに、いつも通り接してくれてありがとう!!」 声が震える。勇気を出すってこういうことを言うんだ。怖い。でも、あたしはこれから、向き合いたい。みんなに感謝の気持ちを伝えるためにも、こうやって一つ一つ間違いを正して、みんなの隣にいられるようになりたい。 「蓮華、顔をあげて?」 怖いと思いつつ顔をあげる。呆れられたかな? そう思っていたら、優しい温もりに包まれた。真澄の甘い良い匂いがする。 「私こそ、蓮華の嫌なことしてごめんなさい。でも、邪魔に思うとか絶対にないし、私は蓮華ともっともっと仲良くなりたい」 「真澄……」 「私たちが、蓮華が自分と向き合うためのきっかけになれて嬉しいわ。だから、そんな顔しないで?」 解放されて、あたしは真澄を見た。真澄も涙を流していた。 「蓮華、真澄、日が暮れる。早くそこに並ぶんだ」 稔彦があたしと真澄を絶景の前に並べた。 「ベタだが……。1+1は?」 あたしと真澄は涙でグシャグシャになりながら笑いあった。たぶん、人間と一緒にいて、初めてこんな笑った。 「にぃー!!!」 叫んだ二人の声は、富士山まで木霊した。 後から写真を見たら、涙もまた宝石のように光っていた。あたしの宝物ができた。
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