1章 旅立ち

4/58
前へ
/877ページ
次へ
「ちょっと!! いい加減起きてよ!!」 大声で呼んで、お兄ちゃんの布団を剥いだ。 お兄ちゃんは身動ぎする。隣にいるレオは眠たそうに目を開けた。 全く……。 散々文句を言いたくなっていると、私の部屋からレミが入ってきた。レミはあたしの呆れた顔を見て笑った。 「きゅい」 レミの声でレオは飛び起きる。 あ、これ多分、なんか怖いこと言われたんだろうな。 レオより、兄だ。あたしはお兄ちゃんの目覚まし時計を手にとって、アラームを現在の時間に合わせた。 ジリリリリリと鳴り響いた。 耳を塞ぎたくなりながらも、それをお兄ちゃんの耳に当てる。すると、面白いくらいお兄ちゃんは飛び起きて、あたしから時計を奪った。 そして、アラームを止める。 「お、まえ! ふざけんな!!」 ボサボサっとした頭を掻き上げるお兄ちゃん。 「ふざけてんのはそっちじゃん。今日からレオと旅出るんでしょ」 ムッとして冷たく言い放てば、頭が働いてきたのか焦り始める。 お兄ちゃんはあたしがいるのもお構いなしに着替え始めた。あたしは苦笑しながら、部屋を出る。 すると、レオとレミがついてきた。 レオとレミは、あたしたちの家族であり、パートナーである。
/877ページ

最初のコメントを投稿しよう!

623人が本棚に入れています
本棚に追加