ゼウスの娘～破滅の鍵の行方～

１章 旅立ち

この二匹はそれぞれ200年前までいた犬という種類の動物が突然変異を起こした中の一種類。

なんだかよくわかんないけど、環境が悪くなったからか、それとも何か人間以外の動物に感染するウイルスが充満したからなのか、200年前に動物が突然変異を起こして、別の生物になったらしい。

何が変わったかと言えば、動物たちが魔法を使えるようになったこと。

昔は使えなかったらしい。

あたしからしたら、使えるのが普通だから逆に使えないのが不思議で仕方ないんだけど。そういえば、こうやってハッキリ意思疏通ができるようになったのも、ここ100年くらいの出来事らしい。

魔法の強さは動物たちによって変わる。それを人間たちが見つけ、意思疏通ができるようになってからは、人間は相棒を見つけ、戦闘するようになった。

動物たちも、人間の方が知能が高いということがわかるくらいに賢くなったことから、人間のもとで共に切磋琢磨するようになったようだ。

人間は動物の力を借りて戦闘し地位を獲得し、動物は人間の力を借りて戦闘を通じて強くなる。

その利害関係の一致によって起こる戦闘。それを誰かが賞金をつけはじめた。そして、ここ30年で人気の職業にまでなっていった。

戦闘で食いつなぐ職業を『マスター』という。

お兄ちゃんは、まさしくマスターになりたくて旅に出るのだ。マスターにはランクがあって、最初は初級からになる。

初級ランクは職業より趣味でやってる人が多い。認定カードがあり、初級は誰でも手に入る。

戦闘は危険だから中学を卒業してやっともらえる。お兄ちゃんもこないだ卒業して、やっと発行できた。戦闘はこの認定カードがないとできない。