憂鬱は雨の中

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 そう言うと彼女は勝手にスタスタと歩き始める。  それにつられてしまい、その歩幅に合わせて私も進んで行くのだが、二、三分歩くと今度は私の足並みが自分よりゆっくりだと気付いたようで、彼女は急に歩くスピードを落とす。  私に合わせて疲れないだろうか?と視線は自然と彼女に向いてしまうのだが 「へへ~こういうデートって憧れてたんだ。相合傘ってやつ?」  やれやれ、なんとも変わった人物に目をつけられてしまったものだ。  どこか雨を凌げる場所を見つけたらそのまま傘から脱出しようと考えたが、閑静な住宅街に入ってしまったらしく一向にそういった場所に巡り会えない。  そこからさらに十五分ほど歩いただろうか、住宅街のはずれにある一軒家の前で彼女は立ち止まった。 「ここ私の家、寄ってきなよ。ずぶ濡れなんだからちゃんと乾かさなきゃ風邪引いちゃうよ?」  辺りを見渡すが、住宅街と道路、あとは電柱に街灯がちらほらとあるだけ、とても雨から逃れる場所はない。  どうやら私に選択肢は無いようだ。まぁ良いさ、雨が上がったらすぐに出て行けば済む話だ。 「ただいまー。おかーさん、タオル~持ってきてタオル~」
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