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「私、そろそろ…」
もう少しだけ、一緒にいたい……
気がつくと俺は、立ち上がる先輩の手首を掴んでいた。
「優くん?」
「あの……写真、撮りませんか?」
「急にどうしたの?」
「先輩に会えるのも、今日で最後だから…思い出に、と思って…」
「卒業式でも会えるじゃん」
「卒業式はいろいろと忙しいかな、と思ったので」
「いいよ、撮ろう?」
俺の横に並ぶ先輩から、ふわっと甘い香りがした。
今まで我慢してきた感情が爆発しそうだ……
「優くん、早く」
「は、はい」
先輩に急かされて俺はスマホを構えた。
指が震えて、ボタンがうまく反応しない。
「もう! 私が撮る!」
先輩がスマホを構えて俺の方へ体を寄せた。
トンッとお互いの肩が触れる。
俺の心臓は今にも飛び出そうだ。
「撮るよ~」
あーもう無理。
そろそろ限界なんだけど……
先輩は俺の気持ちなんて知らないんだろうなぁ。
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