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ルイスの足の怪我が治るまで、私たちは共に過ごした。男性と自然に過ごすことなんて、初めてで、でも、心地よくて、ルイスに特別な感情が私にも沸き起こる。
ルイスも、一緒にいるうちに、自分が警察官で私を追っている立場ということを忘れているかのように、無邪気に笑いかけてくれる。
「もう、足だいぶ良くなったね。そろそろ戻らないと、あんたも怪しまれるんじゃないの?」
ルイスの怪我が治るのを、私はどこかで拒んでいた。しかし、人間時が経てば傷は癒えるのだ。
「そうだね、でも、僕はメイアを守る側に回りたい」
ルイスの瞳に熱がこもる。そんな熱いまなざしで見つめられたら、私にまで熱は伝わり、頬が熱くなるのを感じた。
「その気持ちだけで充分だよ、ありがとうルイス」
私は素直にその気持ちを受け入れることは出来なかった。受け入れてしまえば、ルイスは味方を裏切ることになり、立場が危うくなるのだ。
「メイア、僕は君に催眠術をかけられたわけじゃない。本気で、素直なメイアが好きなんだ。愛してしまったんだよ」
ルイスはそういって、切なげに微笑んだ。その素直な言葉が嬉しくて、初めてありのままの自分を愛してくれた人と出逢えた、私は心からこの出逢いに感謝をした。
「ルイス、ルイスだけだよ。ありのままの自分をさらけだし、愛してくれたのは」
私は自分からルイスに抱きついた。自分から誰かのぬくもりを欲したこともなかったのに、生きていくための金品あつめの道具としか思っていなかったのに、ルイスだけは全てが特別だった。
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