Chapter.1

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その瞬間、 コンクリートを突き破る音が聞こえた。 廊下に出ると、 コンクリートの破片が散らばり 砂煙が舞っている。 その中心に“それ”は居た。 廊下の中央、10メートルほど離れた位置で クラウチングスタートの様な体勢を取っている。 敵は、ゼロの様な人間模造型とは異なり 機械そのものの姿だった。 その身体は金属で覆われていて 関節部分は 黒いゴムの様なもので覆われている。 その顔には アクリルガラスがはめ込まれていて、 青くボンヤリとした光を発している。 ゼロは、ドクターの部屋にあった デッサン人形を思い出した。 アンドロイドはゆっくりと立ち上がる。 『“ゼロ”だ…ナ…?』 『貴方は“カイン”ですね』 あの国が作った“強力な兵器”とは アンドロイドの事だったのだ。 『貴方の目的は?』 『お前ノ…破壊だ…』 その瞬間、カインは一歩で ゼロの目の前まで近づく。 そして、右ストレートを繰り出してきた。 ゼロは、胸の前で両腕をクロスさせたまま 吹っ飛び コンクリートの壁を突き破る。
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