Chapter.1

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「ま…待ってくれ…」 『あなたはあと数分で死にます。 抵抗は無駄ですよ』 「一つだけ…頼みが…ある…」 ゼロは彼を見下ろした。 バンダナ男は右手を差し出してくる。 「手を…手を、握ってくれないか…」 『不意打ちなら無駄です。 あなたが引き金を引く前に指の骨を砕けます』 「違う…、頼むから…」 ゼロはバンダナ男の前にしゃがみ込むと 彼の右手をそっと握ってあげる。 「クソッ…、 人型だってのに…体温は…ねえのかよ…」 『不要な機能ですから』 「ったく…、 毎日…祈った結果が…コレかよ…」 『神なんて存在しません。 数学的に証明されています』 「うっせえよ…、 人間ってのはな… 何かに…すがりたくなる…ものなんだよ…」 バンダナ男は咳き込みながら吐血する。 ゼロの手にも血の飛沫が飛んだ。
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