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「ま…待ってくれ…」
『あなたはあと数分で死にます。
抵抗は無駄ですよ』
「一つだけ…頼みが…ある…」
ゼロは彼を見下ろした。
バンダナ男は右手を差し出してくる。
「手を…手を、握ってくれないか…」
『不意打ちなら無駄です。
あなたが引き金を引く前に指の骨を砕けます』
「違う…、頼むから…」
ゼロはバンダナ男の前にしゃがみ込むと
彼の右手をそっと握ってあげる。
「クソッ…、
人型だってのに…体温は…ねえのかよ…」
『不要な機能ですから』
「ったく…、
毎日…祈った結果が…コレかよ…」
『神なんて存在しません。
数学的に証明されています』
「うっせえよ…、
人間ってのはな…
何かに…すがりたくなる…ものなんだよ…」
バンダナ男は咳き込みながら吐血する。
ゼロの手にも血の飛沫が飛んだ。
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