Chapter.1

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ドクターは指で丸メガネの位置を直す。 「君は気絶したんだよ。 それを軍の連中が運んでくれたんだ。 イイ機会だからメンテナンスしといたよ」 『気絶…、 砲弾でも撃ち込まれましたか?』 「いや、あの質問のせいだよ」 『質問…?』 「“死ぬのは怖”…おっと、 また機能停止させちゃうところだった」 『どういう意味ですか』 ゼロは銀色の検査台から起き上がる。 ドクターは 頭の後ろで縛った自分の髪をイジり始めた。 「君の頭には 世界最高峰のCPUが組み込んである。 いろんな情報が入ってるんだけど それが弱点なんだ」 『弱点…? 私に、ですか?』 「そう、それはズバリ“想定外の質問”。 答えられない質問が来ると CPUが必要以上に過検索を始めて、熱を帯びる。 すると、安全装置が作動して 自動的にアンドロイドの機能を停止するんだ」 『そうだったのですか…』 「知らなくても無理はない。 敵としゃべる事もあまり無いだろう。 マイクロチップで見てたよ」 ドクターはゼロの前髪をかき上げ、 額を撫でる。 アンドロイドには 脳内にマイクロチップが埋め込まれていて その行動は逐一、本部へ報告されるのだ。
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