Chapter.1

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「僕からは以上なんだけど、 何か質問はあるかな?」 『じゃあ2つほど。 “カイン”とは何なのでしょうか。 強力な兵器と聞いてますが それ以外に情報がありません』 「う~ん、 “強力な兵器”と呼ぶくらいだからねぇ。 核兵器なんじゃないかな。 もしくは生物兵器とか」 『他の国に攻め込まれない為の デマかもしれませんね。 “虚像の抑止力”というか』 「そうかもしれない。 正直言って見当もつかんよ。 で、もう1つは?」 ドクターは机に手を突きながら 自分の前髪をかきあげる。 『今後、私の弱点… “想定外の質問”を無くすことは出来ますか?』 「すまんが、それも分からん。 技術力が上がってくれば 潰し切れるかもしれないけど 言葉ってのは 組み合わせ次第で無限に存在するからね」 そこでドクターは自嘲する。 「人間とは愚かなものだと思ってるんだろ?」 『いいえ』 ゼロはかぶりを振る。 ウソをつく機能はまだ実装されていない。 『人間が羨ましいですよ』 そう言って、ぎこちなく口角を上げた。
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