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アタシは生まれつき忌み嫌われていた、それでも構わなかった。生きていられればそれだけでよかった。
「クミラ!!まだ終わってないのかい!?早く荷物をまとめてどっかに行きな!!あぁ、これで清々する!」
「ごっごめんなさい、今終わりました。いろいろお世話になりました…」
深々と頭を下げる。
すると家の中から誰かが出てきて、勢いよくぶつかる。
「キャッ!」
「ウワァ!」
私にぶつかってきたのは、この家の子供だった。
「ごめんね!だ、だいじょ「触らないでちょうだい!!アンタなんかに触られたらこの子が汚れちまう!」
私が慌てて傷を診ようとすると、仁王立ちしていた叔母さんが、転んだ子をすかさず抱き起こしてしまった。
「大丈夫かい?怪我はないかい?」
「あ、あの…」
「まだ其所に居るのかい!?早くどっかにいっちまいな!」
心配になって叔母さんに声をかけると、怒鳴られてしまった。まだ転んだ子が心配ではあったが、これ以上関わると良いことはないので、私はまた深々と頭を下げて宛てもなく歩き出した。
(これからどうしよう……私には行く場所なんて無いし…)
途方もなく歩き集落の唯一の廃墟にたどり着いた。
ここは昔、人間と恋をした吸血鬼の住みかだったと噂で聞いた。
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