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娼婦以外の人々は、毎日が日曜日だった。
生きてる時間と同じだけある大きな暇に、やることといえばVR( virtual reality)の世界に没入するだけだった。
このVRは、巨大で重厚なメガネを装着するような原始的なデバイスでは無く高度に発達したバイオニック・レンズが人間の網膜と脳に見せるデジタル・ワールドだった。
全ての人間はバイオニック・レンズを水晶体の上に装着していた。
視力は全員10.0で、己の意志一つでいつでもどこでもVRの世界に没入出来た。
VRの世界で思い切り走り回り、風を感じ、太陽の光を浴びて水の中を泳ぐ事も出来た。
VR世界に没入している時、現実との境目がどこにあるのか分からなくなる。
ただただ、不思議な快楽世界が意識と網膜の前に拡がっていた。
感覚的に、明晰夢に近い。
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