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彼女はハンドルネームを紗夜と名乗っていた。
度重なる恋人からの裏切りや不信感で自虐を繰り返していると言っていた。
美佳もその一人。
恋人との喧嘩。
家に居ても疎外感を感じることもあり、昔いじめられていたトラウマもあってか自傷行為を繰り返していた。
誰にも言えない悩みを美佳と紗夜は夜中になっても話し合っていた。
「また切っちゃった。」
「またODしちゃった。」
こんな書き込みもめずらしくないくらいだった。
ODとはオーバードーズと言い多量摂取と言う意味。
薬を多量摂取し自虐すると言うこと。
紗夜がしても美佳は咎めなかった。
「あたしも切ろうかな…」そんな書き込みをして自分を傷つける毎日。
季節は冬だったから手首を隠すことは簡単だった。
なぜ切るのか?
別に死にたいわけじゃない。
自分の存在を確かめて、生きてるのを実感したかった。
少しずつ紗夜と美佳は距離を縮めていった。
心の傷を舐め合うかのように…
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