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「あん?誰だ?今俺をディスった奴は!?」
遠野君の呟きにキレたのかクラスメート全員を睨む横山君。
皆横山君が怖いらしく目を合わせない様目を伏せる。
「んでさー、せっかく買ったアイス溶けてんの」
「もったいなくなーい?」
宮崎さんとその連れが廊下から教室の空気がわからずに入ってくる。
「…………」
今更だけど宮崎さんには俺が虐められてる姿を見せたくないんだよな……。
今朝から唯一では無くなったけど、昨日までは唯一俺と話してくれた人だから。
「ちっ、興が削がれたわ……。ふんっ!」
「あっ……」
見事なコントロールで俺の消しゴムをゴミ箱に放り投げて俺から離れていった。
「…………」
これ見よがしに横山君が自分の机から取り出したゴミ袋をゴミ箱にぶちまけた。
机にゴミ溜める不衛生野郎だから振られるんだよハゲ!
てかなんで俺がチェリーであいつはチェリーじゃないんだ!
「はぁ……」
ゴミ箱を漁って消しゴムを探そうと立ち上がる。
それを察したクラスの女子共がニヤニヤ笑っている。
「えー、Fがゴミ箱を素手で漁るとか汚くない?」
「お似合いじゃんゴミ男」
「女だよー」
「男だって」
ネットで馬鹿にする時wでも付けそうな勢いで馬鹿にされまくっている。
なんでこんなに俺は嫌われるのだろう?
女装を自宅でのみ楽しんでいた高校時代までは友達もそこそこ居たっていうのに……。
理解してくれた女子も居たっけな。
「おーい、深森」
「え?」
「ゴミ箱に向かうならついでにこれ捨てておいて」
宮崎さんが俺目掛けて何かを投げてきたのをキャッチした。
「うわっ、宮崎さんFをパシってるね」
「泣きっ面に蜂だな」
ケラケラと馬鹿にした笑いが止まらない不細工な女子連中。
宮崎さんからも嫌われているのかな俺……?
ショックを受けながらゴミ箱に近寄り宮崎さんが投げつけたゴミを見る。
「あれ?新品の消しゴム……」
宮崎さんをチラッと見ると先ほどの女子生徒と他愛ない会話をしていた。
こちらには視界すら収まってなさそう。
「宮崎さん……」
ありがとう、ただ直接言うと虐めに巻き込まれるかもしれないからこの言葉を伝えられるかわからないけれど……。
宮崎さんの親切に少し泣いて、ゴミ箱で消しゴムを探す振りをしながら涙を拭いた。
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