美少女として生まれたかった!

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昼休みになる。 どうせ横山君グループに絡まれるのが目に見えている。 「深森よぉ、購買でいつものパン買ってこいよ」 昼休みはパシりにされる。 パシりしている間は暴力が少なくて助かります。 「よ、横山君に中尾君……他のみんなもパンの料金を……」 「おっ、ポケットに大金あったわ!持ってけ泥棒!」 「2円……、全然足りないんだけど……」 中尾君は2円を大金と呼ぶ程家が貧乏なのだろう。 生まれには突っ込まないのがマナーだ。 「うし、今からガチャ10連回すわ」 「……」 あれ? 貧乏の中尾君大金の約1500倍の値段をポンと出せるのなんで? 「ほら早く行けよ!」 横山君でも中尾君でもない工藤君が俺を押してはね除けながら輪に加わっていった。 「だから……、お金……」 「女装する維持費でも削れカマ野郎」 中尾君はもうお金を出すつもりは無いらしい。 横山君達はもうシカトしている。 「はぁ……」 2円を握りしめて購買に向かう。 「おばちゃん、パンを11個ください」 「相変わらず可愛い顔して食べるのね深森君は」 「い、いえいえ……」 購買のおばちゃんは若い頃のおばあちゃんに似ているし俺にも優しくしてくれるので安心する。 ただおばちゃんの中での俺は大食いキャラになっている。 パシられているなんて心配おばちゃんにはさせられない。 横山君グループは5人居るので1人2個を昼休みに消費する。 俺のパンは1個のみである。 お金自体は株とアフィリエイトで稼げているので困らないが、クレカを使えない購買だから金が引き落とすのが面倒なのであまり現金を消費したくない。 「横山君、買ってきましたよ」 「おう、置いてけ」 「…………」 当然お礼なんてありません。 みんなソーシャルゲームに夢中みたいです。 「あー、またダブった!腹立つわ!」 中尾君が機嫌悪く呟いています。 ざまーみろだこの野郎! ソシャゲメーカーに貯金全部貢いでいろ! 中尾君はイケメン風を装っていますがよく見るとださいです。 雰囲気イケメンを気取ってる勘違い野郎です。 俺のぶんの惣菜パンを握りしめながら教室を出ます。 こうやって横山君グループからの虐めを避けるには逃げる選択肢が重宝します。 遠野君を誘ってみたかったのですが教室には不在です。 今日はどこでパンを食べようか……。
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