プロローグ

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中学生の頃。 自宅で出来る範囲で女装をして楽しんだ。 しかし、学校では当然学ラン。 そこいらの不細工女子より俺の方が可愛いのに、何故俺は男物の学ランを着こなす必要があったのか理解に苦しむ思いもした。 1番苦しんだのはお金だ。 女物の服は値段が高いのだ。 学ランとセーラー服での違いからもわかる通り。 中学生のお小遣いではすぐに金欠に陥る。 お金に困った俺は親に株を教わり、その儲けを女子力を高める為に使った。 親が勉学を疎かにしたら株はさせないしお小遣いも渡さないと忠告されてクラスで10番以内には必ず食い込むくらいには頑張って勉強をした。 バランス良く体を鍛えられる新体操部に入って部活も頑張った。 女装するには肌をキレイに保つ必要もある為、早寝早起きを繰り返した。 全部こなすには死ぬ程頑張る必要があったので、全部死ぬ程頑張った。 姉と妹(実は3人姉兄妹(きょうだい))からは『努力の方向性間違ってない?』と度々聞かれたが『好きな事に全力投球しているだけだよ』と度々返した。 俺の心配をしてくれる姉は聖人だと思う。 高校生の頃。 近所の学校に通うがなんか違う事に気付く。 違うなと気付いたのはやっぱり女装していられる時間が短かったこと。 その時、ようやく俺は 『美少女として生まれたかった!』と無いものねだりをした。 なんで生えているのか、なんかの見間違いかと思っても消えている事はない。 しかし、性的対象として女を見ている辺り自分の気持ちがわからない。 女が好きなら男で良かったけど、男であるが故に悩む体の事情。 一生の付き合いになるのかと覚悟した。 高校卒業後、進学と就職を突き付けられる。 やりたいこともなく進学を決める。 大学か専門学校か悩んでいたところ、あるところが見つかった。 ――学園。 「え?そんな進学先があるのか!?」 よくわからないが、制服を着て学校に通うらしい。 最近のフィクション作品で高校とも大学とも表記しないでぼかしているのが増えているのでそれをターゲットにしたのがコンセプトらしい。 授業も部活もあるらしく、ぶっちゃけ高校との違いがわからないが高校ではなく学園らしい。 「しかも校則には男子が絶対に男子ものの制服を着る旨の表記もない……」 女子もののセーラー服やブレザーに憧れがあった。 それが決め手になり、進学先は『自由学園』に決定した。 そこで俺は新しい出会いが待ち受けているのであった。
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