疑惑

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「俺は横山君グループに色々聞かされたんだ……。警察も関わる事件の中心人物だったとか、不良グループとつるんでいるとか、女を何人も侍らせているとか……。勉強とか運動の天才で人を見下してるって」 素直に明かしてしまう。 これの殆どが事実かもしれないのを彼は認めている。 「達裄君を信じられるのかわからなくなったよ……」 「お前、そういう生き方肩身狭くないか?」 「え?」 達裄君は俺の肩をポンと叩く。 「信じられるのかわからない生き方なんて面倒だろ。自分の信じたい生き方をしていく方が楽じゃないか?」 「信じたい……生き方……?」 「だから、その……つまり……」 たじたじする態度。 どう繋げるか悩んでいるらしい。 「あー……、俺を信じたいか信じたくないか。ぶっちゃけ好きか嫌いかの生き方の方が簡単じゃないかって……。うん、それだけさ」 「達裄君を信じたい!達裄君、好き!」 「お、おう」 もう認めよう。 人間として、友達として、達裄君大好き! 「だから……、教えて欲しい。横山君グループの噂の真相」 「物は言い様って奴だな。確かに全部当てはまるかもしれないけど全部客観的な意見さ」 確かに、達裄君なりの事情が絡んでいる筈だ。 「俺は妹や友達が事件に巻き込まれて自分で解決しなきゃ意味がない状況に追い込められたんだ。だから返り討ちにしてやった。そしたらその馬鹿軍団が捕まったってだけさ。振りかかった火の粉を振り払っただけだよ」 達裄君らしい、人想いなエピソードだな。 「不良グループとつるんでいるってかただ知り合いにそういうのが居るってだけさ。何故か武神として変な有名人になって追いかけられてるだけだし」 「は?」 そういえば前に青高の『サナダユキムラ』とかいう武神とかの最強伝説を高校時代聞いたことある。 10対1ですらハンデにならないとかなんとか……。 ……ん? 「女侍らかすというかなんでか俺男の友達より女友達の方が多いだけだし。男には妙に嫌われるか妙に好かれるかの両極端なんだよ。ほとんどが嫌われる側だけど。てか彼女は1人に絞ってるし」 妹6人もいるし、達裄君って女友達多いし確かに事情知らない奴の情報って感じがする。 「天才だぁ?んなわけないだろ!努力してんだよ!」 この人趣味勉強とか言ってたもんな……。 くだらない脚色や嫉妬混ざりの噂。 噂を紐解いたところで達裄君は達裄君であった。 そんなところが好きだ。
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